黒澤止幾 献上の長歌 黒澤止幾(とき) 日本初の女性教師

黒澤止幾 献上の長歌

千早振る 神代の昔 神々の しつめ玉ひし 秋津島 実にも貴き
日の本の 清き光は 古も 今も千歳の 末までも かはらぬ君が
御代なるを かくとはいざや しら波の 寄せ来る如に 異国の
ことうき舟の えみしらが しゆる願ひを つとつとに 受け引き
国の あやまちは 井伊といふ士の心から 御国のおもの 食みながら
おさおさしくも 思ほへず あやなくまとふ ぬば玉の 心のやみの
くらかりし 黒き間部を 語らひて 功あれど 咎のなき かしこき君を
おしこめて 黄金の色を 山吹の 花散る如に まきちらし 重き雲上を
恐れなき たくみんのほどぞ あさましき あさきたくみも 自づから
浮世の人の 言の葉に かかる悪事を 伝え聞く 身は下ながら 天照らす
神の御末を くみてしる 功ありし 藤原の 流れの末の 我なれば
聞すてならず 年たけて 五ツの四ツに なりぬれど 七十路三ツの
母そばの 老いの齢を 見まほしと 教への道を 業として 細き煙の
たち居よく 朝な夕なに 仕へしも ことを委曲に 語らひて しばしのいとま
こひければ ともに心を そへられて 御国のために 時を得ば 早とく行けと
老楽の 言葉もすぐに 力くさ 露をふくみし あさぼらけ 目も立ちいずる
衣手の 常陸を出でて 敷島の 道ある御代を したひつつ 杖を力の
旅のそら たどるも君が 御世のため 思ひつつけし 老いが身の
矢たけ心は 春の野を 行くも帰るも 梓弓 はるけき道を 細蟹の
糸もたゆまず 引きはへて 雲の上まで かけ橋を 渡る思ひは 天さかる
ひなに生まれし ちりの身の ちりつもりてふ 山の井の 深き心の
みなもとは 流れて清き 丸水の 中にすみぬる 魚心 つたなき身をも
忘れつつ 御国のためと 朝夕に 千々に心は くだけとも ただひとすぢに
行く水の せみの小川に みそぎして はるばるきぬる 旅衣 あかつきながら
鶯の 発音のけふの ことぶきや 野末に匂う 梅が香を 天つ空まで
伝へあげ 恐れ多くも 久方の 雲上の庭に ぬかづきて かしこみかしこみ
つつしみて 申す言の葉 奉るなり

反歌

よろず代を照らす光の十寸鏡 さやかにうつす財が真心

あつさ弓はるけき道を細蟹の 糸もたゆまず雲の上まで

きよみかたきよらにすめる有明の 月にくらへむ日本こころを

衣手のひたちを出て敷島の みちある御代をたずねてそとふ

安政6年未3月
  黒澤 李恭   頓首再拝
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